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東京新聞:ガンダム作りの苦労 水島精二監督に聞く 今の世界情勢を意識
東京新聞:ガンダム作りの苦労 水島精二監督に聞く 今の世界情勢を意識
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2008032702098697.html
機動戦士ガンダム。日本で最も有名なロボットアニメで、放送から三十年たった今も人気は衰えないが、特筆すべきは、その時代、時代で新しいガンダムが作られ続けていることだ。TBSで放送中の「機動戦士ガンダム00」はシリーズ十二作目。いつだって新作は、良くも悪くも話題になり、「こんなのガンダムじゃない」との批判もつきまとう。「00」の第一期の放送が残り一話になった今、水島精二監督に聞いてみた。「ガンダムを作るのって、やっぱり大変ですか?」 (宮崎美紀子)
「機動戦士ガンダム00」は、一年通してではなく、シリーズ初の半年放送して、いったん中断し、また半年放送する二期制の作品。昨年十月に始まった第一期は、二十九日が最終回(午後5時半)。物語は緊迫してきたが、まずは聞きたい。「ガンダム」の定義って?
「トリコロールカラー(白、赤、青)のガンダムというロボットを出して、約五十二本(1年分)の作品というのがまずあるけど、やはり『戦争』を外すわけにはいかない、ガンダムは兵器であるということを念頭に置いた上で、どういう形であれ戦争を描かなきゃいかんだろうと思いましたね。そういう題材が許されるのがガンダムなので、自分も、そこは真摯(しんし)に取り組みたかった」
「00」の舞台は西暦二三〇七年。米国中心の「ユニオン」、中露中心の「人類革新連盟」、欧州の「AEU」の三大陣営が軍拡競争を繰り広げ、大国に属さない貧しい小国では紛争、内戦が続く。主人公「刹那」たち四人のガンダムマイスター(ガンダム搭乗者)は私設武装集団に属し、戦争根絶のため、あらゆる紛争に武力介入する。
対立するイデオロギーのもとに戦う二極間戦争ではないので、対立軸が見えにくい。主人公が“テロリスト”でいいの? 武力による平和の構築なんて理念を肯定していいの? ツッコミどころ満載で、見ていてモヤモヤしてしまうのが、今回のガンダムだ。
そこは監督も「モヤモヤさせたくてやったんですが、モヤモヤしすぎて分かりにくくなったという反省はあります」と認めるが、現実の世界も対立軸は複雑で、分かりやすい戦争、誰もが納得できる正義なんて存在しない。今の世界情勢は「意識しました」。大人のファンも大勢いるが、一番見てほしいのは、今を生きている中高生だ。
「彼らには背伸びしたテーマでも、今の世界を引き写した物語の中で、主人公たちがどう行動するのか見てほしい。『僕もそうだ』ではなく、『この人たち何やってるの』という対象でもいい。強い理念を持った人が出てくる方が面白いし、分かりやすい。難しいテーマを選んでしまったけど、批判的でもいいので、いろいろ考えてほしい」
◇
ガンダムマニアが多いアニメ業界だが、監督自身は、第一作以外はほとんど見ていない。監督を引き受けて、あらためて「ガンダムの怖さを思い知った」。
「あまりにも多くのガンダムがあり、それぞれにファンが付いていて、彼らのガンダムの定義が一つじゃないんですよ。愛が強すぎて新しいものに対するハードルが高い。そこがガンダムの難しいところ。予告編だけで、『ガンダムじゃない』って言われましたよ」
悪口でもネットのファンの声は参考にしてきたが、ガンダムは数が多すぎて仕事にならず、断念したそうだ。
第一期の終盤、あらゆる紛争に介入する主人公たちの集団を共通の敵として、皮肉にも世界はまとまった。だが、武力による平和はもろい。描きたいのは「その先に何があるのか」だ。主人公たちも、誰かの理念に従うのではなく、自ら世界と向き合い、行動することが求められている。近く再開される第二期は何が描かれるのか。
「二期通して『00』なので、とにかく期待してほしい。武力による戦争の根絶を掲げた者たちの末路はどういうものなのか。理念がゆがめられることは多々ある。すると、どうなるのか。第二期は、言葉一つ選ぶのも慎重に、また、人間同士のかかわりも大きなテーマにしていきます」
ガンダム、やって良かったですか? 監督は「まだ分かんない。もう半年作らなきゃいけないので憂うつ」と笑って、こう語った。
「視聴者が求めるものから外れていることも含めて、こんなの僕しか作らないというガンダムになったと思う。過去のどの監督も何を作るべきか考えてきた。その長い長いガンダムの歴史の中に刻まれたことは、すごくうれしい」
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