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X JAPAN復活とニューカマーの隆盛でヴィジュアル系のブームが再燃!

X JAPAN復活とニューカマーの隆盛でヴィジュアル系のブームが再燃!

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080328/1008584/

3月28日~30日の3日間、東京ドームで行われた「X JAPAN」の“攻撃再開”ライブが大盛況に終わるなど、ヴィジュアル系ロックがいつになく活況を呈している。おそらく一般的には、「ヴィジュアル系ってまだ生き残っていたの?」という認識もあるだろうが、1990年代後半から「X JAPAN」や「LUNA SEA」が相次いで解散し、ブームが去ったとされる後にも、脈々と彼らの意志やヴィジュアルを継承するバンドは生まれ続けてきた。“ブーム再燃”の現状と、現役ヴィジュアル系バンドにも着目してみたい。

X JAPAN、LUNA SEAによる

ヴィジュアル系復活劇

 ヴィジュアル系の“ブーム再燃”を決定付けたのが「LUNA SEA」と「X JAPAN」の復活だ。2007年12月に行われた「LUNA SEA」の一夜限りの東京ドーム公演は、満員札止め。テレビ中継のほか、特番が組まれるなどメディアを巻き込んでの一大ニュースとなったが、3月26日には『LUNA SEA GOD BLESS YOU~One Night Dejavu~2007.12.24 TOKYO DOME』という公演タイトル通りのDVDとしてリリースされた。

 「X JAPAN」といえば1997年に惜しまれつつ解散した日本のビッグネームにして、ヴィジュアル系の“創始者”。今回の復活劇もひたすら過激だった。まず2月にリリースした過去のライブ映像を集めたDVD『X JAPAN RETURNS』はそのブランクを吹き飛ばすほど売れ行き好調。ハリウッド映画『SAW4』のメインテーマとして全世界で配信された新曲『I.V.』も爆発的なヒット、日本版iTunes Storeなど各種配信チャートで1位を記録した。そして、今回の東京ドームのチケットは、当初2公演を予定していたが、先行販売だけで20万枚以上の応募が殺到。やむを得ず休養日の中日(29日)を追加公演に設定し3日間開催としたが、スポーツ紙などの報道によれば、一般発売のチケットはわずか数秒で完売になったという。公演初日(28日)の“破壊の夜”の模様はWOWOWで、また29日の“無謀な夜”と30日“創造の夜”の模様はDMM.comのネット配信で生中継。チケットを入手できなかったファンも、テレビやパソコンの前でその歴史的瞬間を共有した。

「X JAPAN」

1989年、X(エックス)としてメジャーデビュー。1997年解散、2007年再結成。5月には、1998年に急逝したギタリスト・HIDEの追悼イベントを開催する。その後はパリから海外公演をスタート

DVD『X JAPAN RETURNS 完全版DVD-BOX』(初回限定盤)(デジタルサイト/1万8900円)。発売元はジェネオン エンタテインメント。

(C)2008 Japan Music Agency Company Limited


「LUNA SEA(ルナシー)」

1992年メジャーデビュー。2000年12月、東京ドーム2デイズを最後に“終幕”。2007年12月、一夜限りのライブで再び東京ドームを満員に。5人のメンバーはソロ・アーティストとしてもそれぞれ才能を発揮している。5月にはHIDEの追悼イベントに出演予定

『LUNA SEA GOD BLESS YOU~One Night Dejavu~2007.12.24 TOKYO DOME』(エイベックス/7980円)

この2バンドの復活で決定的となったヴィジュアル系のブーム再燃は、1990年の全盛期に解散した「デランジェ」の活動再開がきっかけとも言われている。2007年4月の復活ライブで、日比谷野外音楽堂をいきなり満員にしている。その後も「デランジェ」は16年振りの新譜のリリースやイベントの開催など精力的に活動し、来たる5月6日には初の日本武道館ワンマンライブを敢行予定。ヴィジュアル系創世期の立役者が再びシーンに戻ってくることが、現在のマーケットの活性化にもつながっている。

多彩な音楽性で活躍する

人気ヴィジュアル系バンド

 2008年春に注目されるのは、X JAPANの復活公演だけではない。2000年以降にデビューした現役のヴィジュアル系バンドも続々と5000~1万人規模でのライブを開催。二大重鎮の解散後に誕生したバンドもまた、それだけの動員力を備えているのである。東京近郊のライブだけでも、4月19日、20日の国立代々木競技場(ガゼット)や5月1日の国立代々木競技場(シド)、5月3日の横浜文化体育館(メリー)など、大規模公演が目白押しだ。ヴィジュアル系の注目バンドばかりを集めたイベント「“April-fool's Fest 08”」も4月6日(日)新木場コーストで行われる(出演はプラスティック トゥリー、LM.C、ヴィドール、サディなど)。

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「the GazettE(ガゼット)」

2008年2月発売の13枚目シングル「紅蓮」は、デイリーチャート2位、ウィークリーで3位と自己最高記録。ハードロックを基本にミクスチャー色を強めたりアコースティックを取り入れたりと楽曲の幅を広げている

「メリー」

2005年メジャーデビュー。最新シングル「閉ざされた楽園」を4月16日にリリース。レトロ歌謡からパンキッシュなナンバーまでを得意とし、ボーカルのガラによるステージで墨汁を吐くなどのパフォーマンスも奇天烈

「シド」

最新アルバムは、2008年2月リリースの『センチメンタルマキアート』。耳に馴染むメロディアスな楽曲と確かな演奏力で、シングルをチャートのトップ10に送り込むなど活躍も目覚しい

また、最近ネオ・ヴィジュアル系(注)を最初に提唱したソロ・アーティストの「雅 -miyavi-」は国内外を股に掛け、YOSHIKI(X JAPAN)、Gackt、SUGIZO(LUNA SEA)ら大御所とともに「S.K.I.N.」なるバンドにも参加。このほか、2000年以降のネオ・ヴィジュアル系としては、すでに日本武道館ワンマンも経験している「ナイトメア」、ポップな楽曲で楽しさを演出する「アンティック-珈琲店-(アンカフェ)」、和洋折衷のコンセプトを持った「アリス九號.(アリスナイン)」など、多彩な音楽性とキャラクターを持つバンドが続々と登場している。彼らは、ほぼ例外なく日本のヴィジュアル系創世期を見て育ち、影響を受けたアーティストたちといっていい。ファン層は中高生が多くアイドル的な要素も強いが、海外で認知される実力も持っている。

「雅 -miyavi-」

2004年にインディーズ・ラスト・ライブを日本武道館で行ったり、2006年には単身ニューヨークへ留学するなど、目まぐるしい活動で常に注目を浴びる存在。最新アルバムは2008年3月19日リリースの『雅-THIS IZ THE JAPANESE KABUKI ROCK-』

「ナイトメア」

X JAPANやLUNA SEAに影響を受け、高度なギターテクを持つ。シングル曲が日本テレビ系アニメ『DEATH NOTE』や『CLAYMORE』の主題歌に起用され、ヒットメーカーとしても定着

(注)雅 -miyavi-が2005年ごろに「ネオ・ヴィジュアリズム」を提唱したことで、雅世代以降の若手アーティストたちがネオ・ヴィジュアル系と呼ばれるが、最近のヴィジュアル・ロック・シーンの活性化を分かりやすく示す言葉として、従来からのバンドも含め、2000年代から現在活躍中のヴィジュアル系バンドをまとめて呼んでいることも多い。


日本特有の音楽として海外進出も果たす

 日本特有の音楽ジャンルとして、ヴィジュアル系バンドの人気は海外にも飛び火している。アジア各国のみならず、フランスやドイツなどの大規模イベントに招聘(しょうへい)されることも珍しくなくなり、単独でワールドツアーを経験している中堅どころの「プラスティック トゥリー」、「DIR EN GREY(ディル アン グレイ)」など、音楽的に高評価を得ているバンドも多い。

ヴィジュアル系アーティスト海外進出の例

ディル・アン・グレイ 07年アルバム『THE MARROW OF A BONE』世界11カ国同時リリース、北米・欧州ツアーほか多数

プラスティック トゥリー 海外ツアー:06年ドイツ、フランス、フィンランド、07年イギリス、オランダ、フランス、台湾

雅 -miyavi- 海外ツアー:08年アメリカ、ドイツ、オランダ、スペイン、スウェーデン、フィンランド、台湾、韓国、中国ほか多数

ガゼット 海外ツアー:07年ドイツ、フランス、イギリス、フィンランド

アンティック-珈琲店- 海外ツアー:08年フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、韓国


90年代の“四天王”のメンバーが

新旧リスナーをつないでいる

 そもそも“ヴィジュアル系”という言葉は、「X(後のX JAPAN)」がインディーズ時代から掲げていたキャッチコピー“PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK”から派生したもの。1980年代後期より、ヘヴィメタルやパンク、ゴシック系のバンドでメイクをしているバンドは多数存在したのだが、90年ごろからメディアがそれらをまとめてヴィジュアル系と呼ぶようになったため、当初の音楽性は多岐にわたるものだった。それがいつしか、彼らに影響を受けたバンドが模倣を繰り返すうち、音楽ジャンルとしてのヴィジュアル系が確立されていった。

 そして「X JAPAN」や「LUNA SEA」が築いた礎により、男がメイクをするという文化に偏見がなくなるどころか、97年には「シャズナ」の「Melty Love」「すみれSeptember Love」(土屋昌巳率いる一風堂のカヴァー)などがたて続けにミリオンセラー。一般リスナー層を巻き込んでの過去最大のヴィジュアル系ブームが到来した。

 当時はこのシャズナのほか、「ピエロ」、「マリスミゼル」、「ラクリマ クリスティー」らがヴィジュアル系四天王と呼ばれ、その先輩格にあたる「ラルク アン シエル」、「黒夢」なども独自のスタイルを確立。この90年代終盤に多感な年ごろを迎えていたキッズたちが、現在のネオ・ヴィジュアル系と呼ばれる世代を形成していると思われる。

 ヴィジュアル系四天王と呼ばれたバンドはほとんど解散してしまったものの、その元メンバーらが新しいバンドやユニットを組み、新旧のリスナーをつなぐ役割を担っている(下の写真参照)。ヴィジュアル系のファンといえば中高生を中心とした若年層を想像するが、実情は、ローティーンから40代・50代の親世代まで、幅広いリスナーを獲得している。

「Libraian(リブライアン)」

2007年に解散したラクリマ クリスティーから、ボーカルのTAKAとギタリストのHIROがユニットを結成。ハイトーン・ボイスが紡ぐポップなメロディ、情緒と技を併せ持つギターに注目。東名阪ツアーのファイナルは、5月17日(土)渋谷DUO -Music Exchange- にて開催される

「LM.C(エルエムシー)」

2006年に解散した「ピエロ」のギタリストAijiと、新世代ボーカルmayaによるPOPユニット。楽曲にラップを取り入れるなどして、ヴィジュアル系ミクスチャーユニットとも呼ばれる。3月29日には渋谷AXにてワンマン公演を行った

多彩な音楽性と独特の美意識を保ち続け、約20年にわたり日本固有の文化を進化させてきたヴィジュアル・シーン。2008年は新旧のバンドがそろい踏み、またしばらく我々の目と耳を楽しませてくれそうだ。

(文/伊藤美保)

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