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秋葉原殺人男“女”と劣等感「幸せ者は死んでしまえ」
秋葉原殺人男“女”と劣等感「幸せ者は死んでしまえ」
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_06/t2008061131_all.html
幸せ税、避妊具税、助手席税…。携帯メールでは、カネで人を追い込みたいという偏屈な一面も見せていた(クリックで拡大)
「不細工な私には彼女ができない」「生涯孤独」。東京・秋葉原の無差別殺人で逮捕された加藤智大容疑者(25)は孤独と劣等感を赤裸々にサイトに記し続けていた。「誰かを愛したい」との独白からはバーチャルの住人というより、現実にも仮想世界にも居場所を見つけられずさまよう姿が浮かぶ。だが、ある瞬間から現実と自分をつなぎ止めていた細い糸を自ら断ち切り、凶行へ暴走し出す。そこには身勝手な自己愛しかなかった。
≪ニートでもイケメンなら彼女ができますから大丈夫です。不細工な私には絶対にできません≫。加藤容疑者は5月から携帯サイトに「【友達できない】不細工に人権無し【彼女できない】」との題のスレッドを立て、自分のコンプレックスを吐露し続けた。
これに、多くはないが「前向きに行こうよ」と激励する書き込みがあり、≪不細工な私は早く消えて欲しい部類の人≫と加藤容疑者が自分をくさす反論の書き込みが繰り返された。
同じころ、現実世界でも加藤容疑者は友人に「これまでは2D(アニメなど2次元世界)にしか興味なかったけど、そろそろ3D(現実世界)に落ち着かないとヤバイ。というわけで(彼女を)紹介してくれ」と頼んでいた。理想は「背が小さくてアニメ声で、巫女さんの衣装が似合う娘」と話していたという。
サイトでは≪携帯ごしに人間を感じることはできますけど、それだけ。所詮、他人以上知り合い未満です≫と仮想空間でのやり取りの寂しさを漏らしていた。
5月29日には≪私は愛が欲しい訳でも、愛して欲しい訳でもないのです。精一杯、誰かを愛したい… 愛している証(し)が欲しいのです≫と純文学を想起させる言葉をつづった。
だが、31日から書き込みが一変する。「です。ます」調から≪幸せって何さ≫とぞんざいな言い切りになる。
しかも≪ユニバーサルスタジオで火事とか。どうせカップルだらけなんだろ。幸せ者は死んでしまえばいいんだ≫≪彼女がいない。それが全ての元凶≫≪トラックのタイヤが外れてカップルに直撃すればいいのに≫と恨みに満ちた書き込みだけが続くようになる。
激励にも皮肉と嘲笑だけで返していた加藤容疑者にほかのユーザーがキレ、「踏みにじったのはお前。しね」などと言い残し、掲示板を去ったからだ。
書き込みによると、加藤容疑者は「ネットいじめ」と称し、110番通報したという。≪緊急性が無いのに110(番)使うなって言われた。緊急なんだけど。今すぐ何とかして欲しいんだけど≫と身勝手な言い分に続け≪いつも悪いのはみんなオレのせい≫≪俺だけが悪い≫の書き込み。加藤容疑者を現実につなぎ止めていた糸がプツリと切れた瞬間だった。
≪俺がなにか事件を起こしたら、みんな「まさかあいつが」って言うんだろ。「いつかやると思ってた」。そんなコメントする奴がいたら、そいつは理解者だったかもしれない≫≪土浦の何人か刺した奴を思い出した≫≪人と関わりすぎると怨恨で殺すし、孤独だと無差別に殺すし難しいね≫≪『誰でもよかった』。なんか分かる気がする≫と自家中毒に陥ったように凶行への坂を転げ落ちる言葉を垂れ流した。
今月8日には≪ワシは俳優になる≫≪イケメン俳優なる≫とコンプレックスすら崩壊したかのような言葉を記し、犯行当日の朝を迎えた。
ネット事情に詳しいジャーナリストの井上トシユキ氏は「ネットやアニメというバーチャルな世界にも現実社会にも入り込めず、現実の自分を肯定してくれる関係を探している。内向的でプライドが高く、現実を受け止められない面だけなら同じ青森出身の作家、太宰治の印象さえある」と語る。加藤容疑者は太宰と同じ青森高出身。太宰はそれほど親しくない女性を無理心中に巻き込んだうえ、自らを破滅させた。
加藤容疑者は≪(キャバクラの)何が楽しいか教えていただきたい≫≪ソープは、先日無理やり先輩に連れていかれました。二度と行きたくありません≫と風俗への嫌悪感をあらわにしている半面、≪絵(アニメ)と恋愛する方法を調べてみた。そのキャラのためにどれだけお金を使ったかが愛情の証しらしい≫と仮想現実にのめり込みきれない側面も告白していた。
「アニメキャラに本当に恋しているならこんなコメントは出ないはず。バーチャルな世界に引きこもっている人間ならここまで負の感情をいきなり他人への凶行に転化できなかっただろう」(井上氏)
現実でも仮想世界にも居場所を見つけられず一方的にその糸を断ち切った加藤容疑者。だが、友人の1人はこう話す。「アキバに連れて行ってくれ、知らない世界も見せてくれたし、いつも兄貴分として引っ張ってくれた。僕らにとっては親友と呼んでいい人だった」
友人の凶行という現実を受け止められず、この親友は心に痛手を負った。加藤容疑者には仮じゃない現実の友の声が届かなかった。
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