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人気者なのに愛されない芸人・品川祐の「がむしゃらなリアル」
人気者なのに愛されない芸人・品川祐の「がむしゃらなリアル」
http://www.cyzo.com/2009/04/post_1826.html
品川庄司の品川祐が原作・監督・脚本を手がけた映画『ドロップ』が、大ヒットを記録している。主演の水嶋ヒロの結婚発表なども追い風となり、4月3日の時点ですでに興行収入10億円を突破したという。
小説も売れているし、テレビで見る機会もやたらと多い。数字だけを見れば、品川は間違いなく売れっ子芸人の1人である。だが、そんな状況に対して「なぜ?」と腑に落ちない思いをしている人も多いはずだ。華々しい活躍を続ける一方で、タレントとしての品川はかなりの嫌われ者でもある。「面白くない」「出しゃばりすぎ」「ウザい」など、彼に対する手厳しい意見も世間では根強い。
品川はなぜ売れているのか? そして、こんなに売れているにも関わらず、なぜこんなにも嫌われているのか? 恐らく、品川の人気と不人気は、同じコインの裏表の関係にある。なぜ売れたのかを分析していくことで、彼が世間に愛されない本当の理由が見えてくる。
品川が売れるために考えた戦略の大前提となっているのは、徹底したリアリズムだ。テレビお笑い界の現状を見て品川が悟ったのは、誰もがスターにはなれない、ということだった。何度かの「お笑いブーム」と呼ばれる時代を経て、テレビに出てくる芸人の数は昔より増えている。しかし、そんな中で看板番組を持つことのできる芸人はほんの一握りだ。圧倒的な才能とセンスが求められるそのポジションを初めから目指すのは、あまり得策ではない。
だから品川は、「ひな壇」を自分の主戦場に選ぶことにした。正確に言えば、選ぶことを余儀なくされたのだ。彼が戦いを始めようと決意したとき、司会のポストはベテラン芸人で埋まっていて、目の前にはひな壇しか残されていなかったからだ。ひな壇で求められていることは何なのか、徹底的に研究と試行錯誤を繰り返した。そして今では、土田晃之と並んでひな壇芸人のお手本と言われる存在にまで上り詰めたのである。
また、まっすぐにスターへの階段を歩むことを断念した品川は、いろんなことに積極的に首を突っ込んでいくようになった。ブログを毎日更新して、小説を出版した。料理の本を出して、映画の監督と脚本も務めた。芸人の数は多いが、テレビの枠は限られている。芸人が生き残るためには、ジャンルにこだわらずいろんなことに手を出して、それをビジネスにしていかなくてはいけない。
タレント業はどこで火が付くかわからないから、どこでも手を抜けない。だから彼は、何にでも全力で取り組み、何をやってもそこそここなせる器用さを身につけたのである。
そんな品川は、テレビのスタッフや共演者から見ると、実に使い勝手のいい芸人である。ひな壇に品川を配置すれば、場を盛り上げて空気を作ってくれる。ゲストとしてピンポイントで起用しても、それなりに笑いを取れる。テレビ芸人として、いかに扱いやすい存在になるか。彼はただひたすらそれだけを追求してきたのである。
そして、品川が嫌われる最大の理由も、そのリアリズムにあるのだと思う。現実を踏まえて一歩一歩地道にキャリアを重ねる彼の生き方には、夢がない。一般の視聴者の多くは、テレビに夢や憧れを見いだそうとしている。テレビの世界は、圧倒的に美しい俳優やアイドル、天才的な運動神経を備えたアスリート、爆発的に面白い天才芸人たちで満ちあふれている。そんな中で、戦略的にこつこつと努力を重ねて成り上がってきたような品川の泥臭い芸風は、決して愛されることはない。
シャレにならないほど不景気で後ろ向きな時代だからこそ、シャレにならないほどリアルでがむしゃらな芸人が結果を出している。それが品川を取り巻く現実のすべてだ。
(お笑い評論家/ラリー遠田)
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